
キミスカは、企業から届くスカウトをきっかけに、自分に合う会社と出会える新卒就活生向けのサービスです。
サービス開始から10年以上経った今、年間10万人を超える学生が利用しています。
以前、学生がキミスカを開く理由は、スカウトを受け取ることに限られていました。
キミスカ様は、サービスそのものの価値を高める一手として、eラーニングの学習機能を自社サービスの中に組み込み、
登録学生が無償で学べる環境を用意しました。
運用を担うのは、学生向けマーケティングのマネージャーである江頭さんです。
江頭さんと、Workschoolの西元、齊藤が、導入からの取り組みを振り返ります。
導入背景・課題
Workschool 導入後の変化
※シングルサインオン:一度のログインで、別のサービスもそのまま使える仕組み
――まず、キミスカというサービスと、江頭さんの普段の業務について教えてください。
江頭さん:キミスカは、新卒の就活生向けのスカウトサービスです。新卒向けでは2番目に生まれたサービスで、10年以上続けています。毎年10万人から15万人ほどの規模で使っていただけるようになりました。
私はそのなかで、学生向けマーケティングのマネージャーをしています。
ユーザーの集客とアクティブ化の施策全般が担当で、広告配信、アフィリエイト、オーガニック向けの施策、大学への訪問、学生と直接話して口コミを広げること。幅広く担当しています。
――どういう学生の方が登録されて、どのように使われているのでしょうか。
江頭さん:ユーザーは本当に幅広くて、特定の層に偏ってはいません。大学群による偏りも強くなく、しいて言えば東京の方が多少多くなります。使い方でいうと、志望する会社をこれから見つけたい、という方に使っていただくことが多いですね。
就活生は、志望する企業がすでに決まっている人と、早くから就活はしているけれど行きたい会社はこれから、という人に、最初のうちから分かれやすいんです。
後者の方々にとって、ナビサイトで一社ずつ探していくのは大変なようで。スカウトを受け取って、そこから興味を持てる企業を見つけていくやり方が、合っているようです。
――そうした学生の方々に向けて、Workschool導入前から学習コンテンツはありましたか。
江頭さん:学習コンテンツと呼べるものは、ほとんどありませんでした。
集客のために書いていたSEO記事を、アプリの中でも読めるようにはしていたんです。
ただ、就活の情報を届けるところまでで、学生が腰を据えて学べるものではありませんでした。
あとは選考対策のセミナーを開くくらいで、学習という軸では足りていないと感じていました。
――整備に動かれたきっかけを教えてください。
江頭さん:キミスカに登録したり、ログインしたりする理由が、スカウトを受け取ることしかないのが課題でした。
就活に取り組む理由は複合的なのに、キミスカを開く理由はスカウトを見ることだけだったんですよね。
他の理由も作って、サービスとしてできることを増やしていかないと、長期的に使ってくれる学生も、新規登録も増えにくくなる。スカウト以外の強みを少しずつつけていこう、という話になっていた時期に、ちょうどTRUNKさんからお話をいただきました。
学習の機能を自社サービスの中に持てれば、スカウトとは別の価値を学生に返せる。そこから連携に至りました。
――導入を決めた時点で、こんなことをしたいという構想はありましたか。
江頭さん:明確な構想はまだ持てずにいて、まず始めてみよう、という進め方でした。
学習はどの時期でも広く浅く需要があるもので、強烈な反応がすぐに返ってくるものではないんです。
だからこそ最初から構想を固めるのが難しくて、一度やってみて反応を見ながら決めたい、と考えていました。

――社内ではどのような点が決め手になったのでしょうか。
江頭さん:他社と本格的に比較検討したわけではなく、最初にいただいたITパスポートのお話が、
そのまま決め手になりました。資格を取りたいという需要は学生のなかにもあるはずで、キミスカなら資格の勉強ができる、というフックを作れる。
社内で話が通ったのも、この切り口が大きかったと思います。
当時の経営陣が、今あるものだけでなく、これから伸びる領域への感度が高い人たちでした。
当時は生成AIもまだ出ていない頃でしたが、これからエンジニアを目指す人が増えるだろう、テクノロジーはもっと発達するだろう、という見方をしていました。そこに関心を持つ学生も増えていくはずだ、という判断があったのだと思います。
――西元さん、導入支援で印象に残っていることを教えてください。
西元:一番最初の導入で珍しかったのが、シングルサインオンの部分です。
通常は、企業様がWorkschoolを自社の研修用に契約して、受講者がWorkschoolの画面にログインして学ぶ形が多いのですが、キミスカ様の場合は、学生の方がキミスカにログインしたまま、画面を移動した感覚もなくコンテンツを使える形にしています。
ロゴもキミスカ様のロゴに変わるので、学生の方から見れば、キミスカの機能のひとつとして学べる状態です。
私たちのサービスを他社様のサービスの一部として組み込む、半分OEMのような届け方で、他ではあまり見られない形です。
※シングルサインオン:一度のログインで、別のサービスもそのまま使える仕組み
――江頭さん、キミスカのサービスの中に組み込む形にして、良かったと感じる点はありますか。
江頭さん:学生から見ると、キミスカの中で学習まで完結しているのは大きいと思います。
別のサービスに移動してもらう形だと、そこで離れてしまう学生も出てくるので、
私たちとしてもせっかくのコンテンツを届けきれません。ログインし直す手間がなく、キミスカの画面のまま資格の勉強や業界研究に入っていけるので、
メールマガジンから案内したときの動きも自然です。
――その学生の方々に向けて、現在Workschoolをどのように活用されていますか。
江頭さん:学生に届けるコンテンツとして使わせてもらっています。
業界研究も、時事ネタも、資格の勉強も、自分たちだけでは用意できなかったものばかりで。
幅広く用意していただけるのは、大きいです。届け方としては、メールマガジンでの案内が中心で、最低でも週1本は送っています。
ただ、私たちがメルマガを送ろうと思うと、配信できるものには限りがありまして。
こういうセミナーをしますとか、自己PRがまだ埋まっていないから埋めてくださいとか、スカウトを見ましょうとか。リマインドに近いメールばかりになるんですよね。
そこにコンテンツの枠を持てたのは大きくて、学生にとって知る価値のあるものを、こちらから案内できるようになりました。業界研究ができていないなら、そのコンテンツがまとまっているよとか。就活を始めたばかりなら、この基礎のコースを見てみたらとか。スカウトを待つあいだにも、キミスカを開く理由ができたと思っています。
――Workschoolはもともと社員研修向けのコンテンツが中心で、就活生向けのものは新しくつくるところから始まったと伺いました。就活生向けのコンテンツをつくるときに、気をつけていることはありますか。
江頭さん:その年の就活生だからこそ気になるものを提供できるかが、かなり大事になります。
既存のパッケージをそのまま提供するのは少し難しいところがあって、学生が興味を持つのは、そのときの就活の状況に直結しているものなんですよね。
だからこそ、キミスカ用に作っていただいたコンテンツのほうが、その時期に薦めやすかった、というものはあります。時事ネタはまさにそうで、学生が自分から調べにいくにはハードルのあるテーマなので、簡単にまとまっていると案内しやすかったです。
――西元さん、Workschool側として、普段のコンテンツ制作と違う点はありましたか。
西元:コンテンツを一緒に作っていく過程が、通常の企業研修とは違いました。
社会人と学生では前提知識が違うので、ニュースを理解してもらうにも、より端的にわかりやすく書かないといけない。
Workschoolがこれまで積み上げてきた学習設計の考え方を土台に私たちが形にして、学生を一番よく知るキミスカ様に、学生側の観点からフィードバックをいただく。その往復で作ってきました。
たとえばITパスポートの講座は、資格の範囲を一通り押さえると分量が多くなるので、
要点だけを短くまとめたダイジェスト版を用意しています。
江頭さん:資格はどうしても、試験範囲を最初から通して学ぼうとなると長いので、ダイジェスト的に触れられるコンテンツをキミスカの環境上で作れるのは大事だなと思っています。
最近はWorkschool上のコンテンツに動画も増えてきているので、そうした形も学生には合っていそうです。
大学1、2年生の時から使えるコンテンツもあるといいなと。1、2年生はまだキミスカに登録ができない状態なので、そこも含めて一緒に発展させていけたらと思っています。

――実際に使ってみて、選んで良かったと感じる点を教えてください。
江頭さん:良かったのは2つで、1つは単純に、自分たちで作れないコンテンツが幅広く多くあることです。
自分たちで作ろうとなったら、少人数のマーケチームが一定期間コンテンツ制作に動くことになって、他の仕事が全部止まる。去年はSEOにも力を入れていたのですが、検索の環境が変わって流入が落ちた時期もあって、少人数で先の読みにくい領域に張り続けるのは難しいと感じていました。
コンテンツは短期的な成果が見込みづらいこともあり、手を出しづらいものだったので、必要なものを作っていただけるのは本当に助かりました。
もう1つが、中身の質です。業界研究などを自分たちで作ろうとなっても、平均年齢が若くて少数のチームなので、
作れるものが人材業界の話に偏ってしまう懸念がありました。
自分たちでは制作できない領域まで含めて用意していただけるので、学生に自信を持って薦められます。
――学生の方の反応や、数字の面で見えてきた変化はありましたか。
江頭さん:普段のメールより反応がいいものは作りやすくなりました。
リマインドのようなメールが続くと、学生も次第に開かなくなってしまうんです。
学生が興味を持ちやすい、業界研究や時事ネタのようなコンテンツを案内するメールでは、開封率だけでなくクリック率も、他のメールより高くなります。
――数字以外の面では、どのような変化がありましたか。
江頭さん:2つあって、1つは社内の会話が変わりました。以前のメルマガは、この週は自己PRで、次はエントリーで、次はログインで、と機械的に回していました。毎回のテーマ探しにも苦戦していて、過去に送ったものを複製し、画像の色味だけ変えて出すこともあったんです。
今はコンテンツの企画や制作について社内で話が出るようになって、そうした機械的な進め方ではなくなりました。
もう1つは、学習コンテンツそのものとは別の軸の話になるのですが、セミナーです。
IT業界や技術職に関心のある就活生に向けて、TRUNKさんとの共催セミナーを開きました。
取り組みがコンテンツの提供だけにとどまらず、西元さんに一度登壇していただいてから、それが1つの選択肢になっています。外部の方に登壇してもらうことは、キミスカとしてほぼなかったので。
協力して何か1つ作る経験ができたのも、あのセミナーがほぼ初めてに近いと思います。学生の反応も取れて人も集められたので、選択肢として持てるようになりました。

――今後のサービス展開や、登録学生への価値提供の展望を教えてください。
江頭さん:まず、弊社の親会社が提供しているタレントマネジメントシステム「タレントパレット」との連携を、まだ活かしきれていない感じがあります。
キミスカ経由の学生の採用管理や、採用過程でのデータ分析、入社後の管理や適材配置まで、当たり前に連動できるようにしたいという思いはもっとあります。
スカウトの市場は配信量によって伸びてきた市場なので、ユーザーからすると関係のないスカウトが大量に増える感じにもなってしまう。量だけでなく、自分に合ったものが選びやすい環境をちゃんと実装できるサービスになりたいです。
――そのなかで、Workschoolに期待することを教えてください。
江頭さん:期待しているのは、大きく2つです。1つは、コンテンツにたどり着きやすくする機能面です。
今はメールマガジンから案内しても、ログインやページの移動がはさまります。
特定の経路からしか行けないのではなく、こういうことで悩んでいるという学生の目の前に業界研究のコンテンツが出てくるくらい、アクセスしやすくなるといいなと。
もう1つは、コンテンツが増え続けることです。
就活のコンテンツは賞味期限が短く、年単位で流行っては廃れていくので、良いものが残りにくいんですよね。
学生の反応をもとに新しいコンテンツが生まれ続ける仕組みがあれば、それがスカウト以外でもキミスカを使う理由になります。
内容でいえば、AIの具体的な使い方と、企業の選び方や探し方。この2つは学生にずっと需要があると感じています。
――Workschoolとしては、今後どのようにサポートしていきたいですか。
齊藤:いま挙げていただいた2点は、ぜひ一緒に進めていきたいところです。
機能とコンテンツの両面から形にしていければと思っています。
機能面では、若い世代にも使いやすいゲーミフィケーション要素を強化すること。
コンテンツ面では、一つひとつを短く区切って学べるマイクロラーニングの形にしていくこと。
学生の方が、まず開いてみよう、触ってみようと思える入り口をつくっていきたいと思っています。