ITリテラシー研修の必要性と実施方法

ITリテラシー研修の必要性と実施方法

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・ITリテラシー研修の必要性を感じているものの具体的な方法に迷っている方
・ITリテラシー研修が自社に必要かどうか迷っている方
・「DX人材」を育成するための要点を知りたい方

ITリテラシー研修とは、基本的なIT知識とスキルを学ぶための研修です。急速にDX化が進む近年、必要性が高まっているのは「ITリテラシー」を取得している人材です。「ITリテラシー」を取得している人材を育成することでセキュリティリスクを下げたり、生産性の向上につながります。ITリテラシー研修を通して社員のITスキルを磨くことで、DX人材の基盤を築くことにつながります。
この記事では、ITリテラシー研修のおすすめの実施方法や、その中で「DX人材」の育成に役立つポイントについてご紹介します。

ITリテラシー研修の必要性

ITリテラシー研修の需要が高まっている理由として、ビジネス環境や日常生活においてITが不可欠な存在となっているためです。それに伴い急速なDX化に対応することが求められている現代ではIT企業のみならず、どんな企業においても必要な研修となっています。ITリテラシー研修を実施する具体的な理由を3つご紹介します。

1.セキュリティリスクを下げる

セキュリティインシデントが発生しやすい状態を防ぐことができます。不正アクセスやデータ情報漏洩、セキュリティー侵害などが発生しやすい状態を防ぐためには、社員が基本的なITセキュリティの知識を持つことが必要です。適切な研修を受けることで、パスワード管理やフィッシング詐欺への対処法など、基本的なセキュリティ対策を理解でき、対応することができます。
某教育関連企業は、元社員がデータベースに不正アクセスし、約3500万件の個人情報を漏洩しました。ITリテラシー不足に加えて、内部のセキュリティ対策の不備が原因でした。
Web上で様々なサービス・システムが提供されている現代では、情報を適切に管理することは顧客サービスを向上させる上で避けては通れません。ITリテラシーが低いまま利用すると、情報の取り扱いが杜撰になり、サイバー攻撃を受けたり、社員が故意に情報を漏洩させたりするリスクが高まります。ITリテラシーを取得することは、セキュリティリスクを低下させる基本となります。

2.生産性の向上

DX化が急速に進む現代においてITツールの利用は、職種を選ばず、どんな企業、どんな現場でも必須となっています。ツールを効果的に使いこなすことで、業務の効率化が図れ、生産性が向上します。
コロナ禍を経て、リモートワークの普及により、オンラインでの業務遂行が大幅に増えました。オンライン業務をスムーズに進めるにはITツールを使用できることがますます重要となります。オンライン会議ツールやコラボレーションツール(Slack、Microsoft Teams、Zoom)の使い方を理解していると、チームプロジェクトでの情報共有がストレスフリーで、他部署や顧客とのコミュニケーションも円滑に進められます。

3.企業イメージと事業影響の保護

セキュリティリスクが発生すると、会社のイメージに影響します。。社員のITリテラシー不足が明らかになったケースとして、某金融企業の社員がフィッシング攻撃により社員の認証情報が盗まれ、顧客情報が外部に漏洩する事件が発生しました。顧客情報などの重要な情報が外部へ流出してしまうと、顧客の信頼を失い、企業の評判が大きく損なわれ、イメージ低下となります。流出が技術情報であれば、競合市場で優位性を保てなくなり、事業が頓挫してしまうかもしれません。事業の継続すら危ぶまれるおそれがあります。社員のITリテラシーを高めることは事業影響の保護となります。、事業規模の大小に関わらず、ITリテラシー研修を実施することをおすすめします。

ITリテラシー研修の内容

ITリテラシーは専門職だけでなく、全社員が身につけておくべき重要度の高い内容です。
ゴールを「IT基礎を習得する」を設定した場合を例に基本的なITリテラシー研修の内容をご紹介します。

ITリテラシー研修の実施方法

研修の実施方法は3つあります。自社のニーズや職種に合わせて組み合わせるとより効果的です。それぞれの特徴とメリットをご紹介します。

オフライン(集合型)研修

社内に情報システム部門など、研修ができる人材がいる場合は依頼し、専門家がいない場合は外部講師の派遣を検討します。オフライン研修は、対面でのコミュニケーションが取りやすく、質問やディスカッションがしやすい利点があります。研修中に疑問点があれば、その場で講師に質問して解決できる点が魅力です。

オンライン研修

外部サービスを利用することで、場所を問わずに研修を受けることができます。オンライン研修は、コストを抑えつつ、柔軟なスケジュールで実施できる利点があります。ZoomやMicrosoft Teamsなどのオンライン会議ツールを使って、リモートで研修を実施することができます。

eラーニング

eラーニングは、社員が自分のペースで学習できる方法です。特に、日常業務のスキマ時間の有効活用ができ、業務の合間に少しずつ学習を進めることができるため、業務への負担が少ないです。
オンライン学習プラットフォームを利用して、必要なコースを選んで学習することができます。繰り返し学習でき、理解度テストで、習熟度が把握できます。職種別で研修内容を選択すると、個人に合わせた内容を習得できるため、効率的にITリテラシーを理解し、活用できるでしょう。

Workschoolは、ITリテラシー研修の実施において非常に有効なプラットフォームです。Workschoolの詳しい内容についてはこちら。

DX人材の基盤となるITリテラシー研修のポイント

経済産業省は生成AIの登場や進化によって、DXに関わるビジネスパーソンに求められるスキルも変化していることを踏まえて見直しを行い、令和5年8月にデジタルスキル標準改訂版(ver.1.1)を公表しています。
「ITリテラシー」を取得した人材は、DX化に対応し、自社のDX化を牽引していく「DX人材」になり得ます。「DX人材」の基盤となるITリテラシー研修のポイントをご紹介します。

1.役職や職種によってカリキュラムを分ける

役職や職種によって必要なITスキルは異なります。それぞれに必要なスキルマップを作成し、必要項目に沿ったカリキュラムを作成します。カリキュラム内容を分けることで、効率的、かつ効果的にITリテラシーを習得できます。
例えば、管理職向けにはプロジェクト管理ツールの使い方、エンジニア向けには高度なプログラミングスキルなどが含まれます。

  • 管理職向け研修
    プロジェクト管理ツール(例えばJIRAやAsana)の使い方や、チームリーダーとしてのITツール活用法を学びます。具体的には、プロジェクトの進捗管理やタスクの割り当て、リソースの最適化などが含まれます。
  • エンジニア向け研修
    プログラミング言語の高度なスキルや、新しい開発ツールの使い方を学びます。例えば、PythonやJavaScriptの高度なコーディング技術や、クラウドプラットフォーム(例えばAWSやAzure)の利用方法などを学びます。

2.目的や意義を理解してもらう

研修を受ける前に、その目的や意義を理解してもらうことで、社員のモチベーションを高めます。DXの推進や業務の効率化など、具体的な成果をイメージできると、習得度が上がるでしょう。ITリテラシーを取得しない場合のリスク、評価へ影響することのマイナス面も一緒に伝えると個人ITリテラシーの必要性の意識付けとなります。
例えば、研修の冒頭で以下のようなポイントを説明します

  • DXの推進
    デジタル技術を活用することで、業務プロセスの効率化や新しいビジネスモデルの構築が可能
  • 業務の効率化
    ITツールを活用することで、日常業務がどのように効率化されるか、具体的な例を示す。例えばデータ入力の自動化やオンライン会議の活用による時間削減が可能になること
  • リスク
    フィッシング攻撃やパスワード管理不備でセキュリティ意識が低いと、フィッシングメールに引っかかりやすくなり、情報漏洩のリスクが高まる
  • 個人評価
    基本的な業務能力が欠如していると見なされ、評価が低くなる可能性を示唆

3.定期的に研修を実施する

IT技術は日々進化しているため、定期的に研修を実施して最新の情報を提供することが重要です。年に数回の頻度で、継続的に研修を行います。定期的に実施することで、ITリテラシーの定着度もあがり、DX人材の育成を着実に積み上げていくことができます。
1.新技術の導入
新しいIT技術やツールが導入されるたびに、その使い方や利点を社員に伝えるための研修を行います。新しいプロジェクト管理ツールやクラウドサービスの使い方を学びます。
2.セキュリティ研修
定期的にセキュリティ研修を実施し、新しい脅威や対策について最新の情報を提供します。近年のフィッシング詐欺の手口や新しいウイルス対策ソフトの使い方などを学びます。
3.フィードバックと改善
研修の内容や方法について、社員からのフィードバックを受け取り、それをもとに次回の研修内容を改善します。
4.業務の負担にならないようにする
ITリテラシーは重要項目ですが、社員の業務の負担にならないように配慮します。受講できる時間を自分で選択できたり、1回あたりの研修内容のボリュームを調整するなどの配慮をすることで、受講率もあがるでしょう。

  • 業務の合間の短時間研修
    業務の合間に短時間の研修を行うことで、業務の進行を妨げないようにします。
  • オンライン研修の活用
    社員が自分のペースで学習でき、業務のスキマ時間を有効活用できます。

まとめ

ITリテラシー研修は、現代のビジネス環境において優先度が高い研修です。基本的なITスキルを身につけることで、セキュリティリスクの低減、業務の効率化や生産性の向上、企業イメージと事業影響の保護が図れます。定期的な研修や、役職・職種に応じたカリキュラムの提供、業務の負担にならないスケジュール調整など、細やかな配慮が必要です。これからのDX推進社会において、ITリテラシー研修の充実はさらに求められるでしょう。

Workschoolのようなプラットフォームを活用することで、社員のITリテラシーを効率的に向上させ、「DX人材」を育成するための効果的な研修を実施することが可能です。Workschoolの詳しい内容についてはこちら。