
「来週の研修、案内メール送ったっけ…?」
「あの人の受講履歴、更新したっけ...?」
「どれが最新のエクセルファイルかわからず更新し直さないといけない…」
研修担当になって、こんな経験をされたことはないでしょうか。
最初はエクセルで十分と思っていても、社員が増えたり研修の種類が多くなってくると、だんだん管理に時間を取られてしまいます。
「でも、システムを導入するのは大げさかもしれないし...導入資金も必要だから費用対効果を考えるとなかなか踏み切れない...」という方も多いかもしれません。
本記事では、エクセルで研修管理を続けるコツと、そろそろ研修管理のシステムを導入するべきタイミングについて、解説します。
研修管理の役割を正しく理解することで、エクセルで何を記録すべきかが明確になります。
研修管理とは、「誰が、いつ、どんな研修を受けたか」を記録して、活用することです。
単なる出欠確認の記録ではなく、社員一人ひとりの成長過程を可視化し、組織全体の人材開発に活かしていく重要な業務といえます。
主な内容としては、以下のようなものが挙げられます。
これらの作業一つひとつは小さく見えるかもしれませんが、対象人数が増えてくると、手作業による転記ミスやリマインド漏れが積み重なり、管理そのものの負担が重くのしかかってくることがあります。
研修履歴は、できるだけリアルタイムで、かつ正確に記録することが重要です。その理由について、3つの観点で解説します。
リアルタイムで更新できていなかったり、正確に記録することが出来ていない状態は
「誰が・いつ・何を・どこまで習得しているのか」を把握できず、場当たり的な研修運用になりがちです。その結果、すでに習得している内容を再度受講させてしまったり、本来次のステップに進むべき社員に基礎研修を割り当ててしまうなど、育成の非効率が発生します。
研修履歴を正確に記録・管理しておくことで、社員一人ひとりの学習状況やスキルレベルを客観的に把握できます。これにより、「次にどの研修を受けさせるべきか」「誰を次の役割やポジションにアサインできるか」といった判断がしやすくなり、計画的かつ無駄のない人材育成を進めることが可能になります。
近年、社員を「資本」と捉える人的資本経営への注目が高まっています。研修履歴は、その社員が持つ能力や専門性を裏付けるための判断材料のひとつとなります。
例えば、新しいプロジェクトのメンバーを選ぶ時や、昇進の判断をする際に、社員のスキルと合わせて、研修履歴によって成長レベルを図ることもできるでしょう。データを活用した人員配置や抜擢を行うことで、社員の納得感も高まるでしょう。
一部の研修には、法令で記録保存が義務付けられているものがあります。
例えば、労働安全衛生法に基づいた安全衛生教育など、一部の研修記録は法律で3年間の保存義務が定められています。万が一の労働災害や当局の監査が入った際、すぐに正確な記録を提示できないことは、企業にとって大きな社会的信用の失墜や法的リスクを招くことになります。特に製造業、建設業、医療・介護業界など、安全管理が重視される業種では、この記録管理が企業の信頼性を左右します。
研修管理が持つ戦略的・法的な重みを踏まえると、ミスなく、かつ効率的な管理体制を築くことは人事の最優先課題といえるでしょう。
このように、研修管理は単なる事務作業ではなく、人材育成の質と企業の信頼性を支えるために必要な業務といえます。
多くの方が馴染みのあるエクセルは、手軽に始められますが、組織の成長とともに顕在化する課題も潜んでいます。
専用システムの導入には、予算の確保や社内稟議、契約手続きといった高いハードルが伴いますが、エクセルであれば既存のライセンスを活用して今日からでも管理をスタートできます。
自社独自の研修項目や評価基準に合わせて、フォーマットを自由自在にカスタマイズできる柔軟性も汎用ツールならではの強みです。パッケージ化されたシステムとは異なり、「この研修にはこの特記事項を追加したい」といった細かな要望も、セルの追加だけで即座に反映できるため、自社の運用フローをツール側に合わせるストレスがありません。
馴染み深いツールであるため、操作教育が不要な点も実務上の利点です。担当者の異動や引き継ぎの際も、新しい操作方法を覚える時間を省くことができ、属人的なスキルに頼らずとも最低限の更新作業が可能となります。
人数・研修数の増加で運用負荷が急増する
社員数や研修の種類が増えるにつれて、管理の負担が増えるというデメリットがあります。
案内・出欠確認・リマインド・履歴更新などの作業が研修ごとに発生するため、対象が増えるほど対応量が膨らみやすくなります。
入力ミス・属人化が起きやすい
手入力による細かなミスや、特定の担当者しか中身がわからない属人化が避けられなくなります。気がつけば個別のフォローが追いつかないほど管理が困難になってしまうことがあります。
データの集計そのものに時間が奪われ、どの研修が本当に役立っているかという肝心の分析や改善への時間が割けない可能性もあります。
エクセルでの管理が適切となる場合もあります。
担当者が一人ひとりの受講状況を詳細に把握できており、かつ手作業による入力時間が月数時間程度に収まっている場合は、エクセル管理が合理的な選択となります。
管理すべき対象が、担当者の「目が行き届く範囲」であれば、コストをかけてシステム化するよりも、エクセルでの研修管理が効率的となります。
具体的には、以下のような組織が該当します。
次章ではエクセルで管理する際の基本項目をご紹介します。
エクセルで管理を継続される場合、運用の形骸化を防ぐために押さえておきたい基本項目があります。
もしエクセルで管理を続けるなら、最低限これだけは記録しておくことをおすすめします。将来システムに移行するときにも、スムーズにデータを引き継ぐことができます。
項目 | 役割と必要性 |
① 社員ID | 同姓同名の識別や、他システムとの連携に欠かせない項目です |
② 氏名 | 受講者の特定に使用します |
③ 部署 | 部門別の受講率算出や、階層別研修の対象者を抽出する際に必要です |
④ 役職 | 階層別研修の対象者を抽出する際に必要です |
⑤ 研修名 | 実施したプログラムを記録します |
⑥ 受講日 | 法的保存義務の根拠となる重要な日付です |
⑦ 合否・点数 | 理解度テストの結果や、修了判定を記録します |
⑧ 有効期限 | 更新が必要な資格や、再受講のタイミングを管理するために必須です |
⑨ 講師名 | 社内講師の登壇実績や、外部委託先の記録を残し、品質を担保します |
⑩ 備考 | 欠席理由や個別対応の履歴など、後で振り返るためのメモを残します |
これらの項目で管理し、入力ルールをあらかじめ仕組み化しておくことで、システムへ移行する場合でもスムーズにデータを引き継ぐことができ、それまでの運用の成果を無駄にすることなく運用ができるでしょう。
「一から管理表を作る時間がない」「どんな項目を入れればいいか迷う」という担当者様のために、本記事で解説した必須10項目を網羅したGoogleスプレッドシート用テンプレートをご用意しました。
以下のリンクからコピーして、貴社の運用に合わせて自由にカスタマイズしてご活用ください。※リンクをクリック後、メニューの「ファイル」>「コピーを作成」から保存してご利用ください。
判断のヒントとして、コスト、機能、操作性、手間、安全性の5つの観点でそれぞれ比較してみましょう。
比較項目 | エクセル管理 | 研修管理システム(Workschoolなど) |
コスト | 初期・月額費用がかからない目に見える出費はありません。しかし、集計や督促に追われる作業にかかる時間が人件費のコストとして積み重なりがちです。 | 初期費用や月額費用が発生投資は必要ですが、管理業務を自動化することで人件費を抑え、教育施策の立案など付加価値の高い業務に集中できます。 |
機能 | 記録と集計がメインデータの保持は得意ですが、予約受付やリマインド、アンケート回収などはすべて別工程の手作業が必要となります。 | 付随業務の自動化多くのLMSで共通で受講者管理・受講履歴・進捗管理・レポートの自動機能があります。※予約・定員管理、自動リマインドや出欠の自動化、アンケート設計・回収や修了証発行、外部システム連携などはサービスによって異なります。 |
使いやすさ | 慣れていてすぐ使える多くの担当者が操作に慣れているため、導入時の教育がほとんど不要です。一方で、入力ルールや集計方法が担当者ごとにばらつきやすく、ファイル運用が複雑になるほど管理が難しくなることがあります。 | 研修管理に最適化されている研修の登録・案内・進捗確認・履歴参照などが画面設計に組み込まれており、手順が統一されます。運用ルールを仕組みとして固定できるため、担当者が変わっても同じ手順で管理しやすくなります。初期は操作に慣れる時間が必要な場合もありますが、慣れてくると日々の運用がスムーズになり、管理の負担を抑えやすくなります。 |
更新性 | 手動更新基本的には手動での更新となるため、人数・研修数が増えるほど、更新箇所や集計作業が増えやすくなります。入力ルールの統一や更新フローの整備により、負担を抑えることができます。 | リアルタイム反映受講者の完了アクションがリアルタイムで履歴へ反映されます。メンテナンスの手間を減らし、常に最新の状況を把握できます。 |
セキュリティ | 社内完結での安心ローカル保存のため外部攻撃に強いのが利点です。ただし、メール誤送信や持ち出しといった「人のミス」による流出には注意が必要です。 | 形態(オンプレミス/クラウド)によって異なる |
もし、エクセルの運用で少しでも無理が生じ始めているのであれば、それは単なる担当者の努力不足ではなく、仕組みそのものの限界かもしれません。
エクセルでの柔軟な管理を続けつつ、どのような変化が起きた際に仕組みのアップデートを検討すべきでしょうか。

一人の担当者が、個々の受講状況を細かく把握して、手動で丁寧なフォローができる限界は30名〜50名程度と言われています。 この規模を超えると、「誰がまだ受けていないか」を確認して、個別にリマインドを送るだけでも膨大な作業になってしまいます。人数が増えるにつれて、どうしても一人ひとりの状況に目が届かなくなり、全員に同じ案内を一斉送信するだけという、流れ作業の対応しかできなくなってきたら、それは仕組みを見直すべき一つのサインでしょう。
案内、集計、リマインドといった事務作業に、月に15時間以上(営業日数で考えれば1日1時間弱)を費やしているなら、それは仕組みを見直す大きなサインです。
この工数を人件費に換算すると、多くのクラウド型の研修管理システムの月額費用を上回ります。事務作業で手一杯になり、本来の役割である「教育施策の立案」に時間が割けていないなら、投資対効果の面でもシステム化導入の選択肢となります。
【関連記事】クラウド型LMSの記事
エクセル管理で一番怖いのは、情報の正確さがどうしても担当者個人の注意力に委ねられてしまうことです。 社員数が増えるほど、手入力による転記ミスやアンケートの回収漏れを防ぐのは難しくなります。結果として、すでに受講を終えた人に催促メールを送ってしまったり、逆に未受講の人を見落としてしまったりといった「不毛な追いかけっこ」が起きてしまいます。こうした情報を正す作業に追われ、本来向き合うべき社員との対話が後回しになっていないでしょうか。
「研修をやって、結局どう変わったのか?」という問いに対し、受講率などの数字しか出せない状態は、研修効果やデータ活用があまりできていない状態かもしれません。
バラバラになったアンケート結果やテストスコアをシステムで一元化し、個人の成長を多角的に分析できる環境を整えることで、研修の効果測定ができるでしょう。
エクセルでの管理を長く続けていくと、自分なりのメモや複雑な集計ルールが増えていき、いつの間にか「自分にしか触れないファイル」になりがちです。これは運用者が増えていくにつれて不便になるでしょう。急な休みや異動の際に、他の人がファイルを開いても「どこを見れば最新の状況がわかるのか」「どの数字が正しいのか」がわからない状況になっているかもしれません。情報の新しさが自分一人の記憶に頼り切りになり、周りと共有できていない状況になってしまいます。そんな状況になりつつある際は、誰が見ても状況が伝わる仕組みへ移るべきタイミングです。
研修管理システム導入で得られるメリットをご紹介します。
年度別や拠点別、あるいはeラーニングと対面研修でバラバラに保管されていた履歴を、一つのプラットフォームに統合できます。
社員名で検索するだけで、入社以来の受講履歴や資格の保有状況を把握できるようになるため、データを記録するだけでなく、適材適所の配置や選抜研修に活用できるでしょう。
※資格情報の管理可否・範囲はシステムにより異なります。
受講期限が近づいた人への連絡を自動化できることがあります。 。 そのため、一人ひとりにメールを送ったり、終わっていない人をリストアップしたりする手間がなくなるだけでなく、催促する際の申し訳なさや、確認漏れの不安からも解放されます。また、名簿の書き換えや出欠のチェックといった地道な作業をシステムに任せることで、仕事の内容が大きく変わります。 空いた時間で、研修内容の更新や人事にしかできない本来の仕事に時間を使えるようになります。
アンケートの集計やテストの結果発表も、ボタン一つでグラフになります。 「どの研修が好評だったか」「次はどんな内容が求められているか」が、集計作業に追われることなく一目でわかります。経験や勘だけでなく、自信を持って次の計画を立てられるようになります。
受講履歴やテスト結果、アンケート回答などの情報を手動入力などに頼らずシステム化できるため、記録の抜け漏れや転記ミスを防ぎやすくなります。担当者が変わっても同じルールで更新・参照しやすく、研修状況を正確に把握できる体制につながります。
システム導入にはコストや準備も伴いますが、これら4つのメリットは、長期的な視点で見れば、人事担当者の負担軽減と育成の質向上を両立できる選択肢として検討材料になるでしょう。
自社に最適なシステムを選ぶために、主要な機能を把握しましょう。
※機能はサービスによって異なるためご留意ください
現代の研修管理システムは、名簿管理だけでなく、研修前後の煩雑な事務作業を統合する多機能なプラットフォームとなっています。

多機能であれば良いというわけではありません。自社の運用にフィットするかを見極めるための判断軸を整理していきましょう。
多機能すぎて使いこなせないのはよくある失敗パターンといえます。自社の課題(例:督促を自動化したい、アンケートを集計したい)を解決する機能が揃っているかを確認しましょう。
② UI/UX面での使いやすさ
管理画面の操作性はもちろん、受講者が迷わず操作できるかが重要なポイントになります。スマホ対応の有無や、直感的に使えるデザインかどうかを、デモ等で実際に触れて確認することをおすすめします。
初期費用、月額料金に加え、ID数に応じた従量課金なのか定額制なのかをチェックしましょう。5年、10年と使い続けた際のトータルコストを試算しておくと、後悔のない選択につながるはずです。
導入時のデータ移行支援や、運用開始後の操作のフォローなど、伴走型のサポートがあるかどうかを確認しておきましょう。
機密性の高い人事情報を扱うため、暗号化通信、二段階認証、ISMS認証の取得状況など、社内のセキュリティ基準を満たしているかを精査しておくことが大切になります。
既存の人事給与システムやデータ連携が可能かを確認しましょう。データの二重入力を防ぐための重要なポイントといえます。
自社と同規模、あるいは同業界での導入実績があるかを確認しておくと安心です。実績が多いシステムほど、特有の課題に対するノウハウが蓄積されており、安心して運用を任せられると考えられます。
ここまで7つのポイントを挙げましたが、すべての機能を完璧に備え、かつ操作も簡単というシステムを見つけるのは簡単ではありません。機能が多ければ画面は複雑になり、シンプルすぎればやりたいことに手が届かない……そんなジレンマに陥ることも多いでしょう。
まずは今のエクセル作業をそのまま自動化したい、ITに詳しくない社員でも迷わず使えるものがいいと考えているなら、LMS(学習管理システム)の活用も一つの選択肢となります。
研修管理システムWorkschoolは、迷わせない直感的なUIと実務に即した自動化機能を備えており、伴走型の導入支援が特徴となっています。こうしたツールを検討することで、現場の負担を減らしながら、効率的な育成体制を整えることが期待できるでしょう。
詳しくはこちら
研修管理は、立ち上げ期や少人数のうちは、エクセルで柔軟にコストを抑えて進めるのが非常に合理的です。
一方で、組織が成長し、事務作業が本来の目的である「人材育成」の時間を圧迫し始めたなら、それは研修管理システムの導入を検討するタイミングかもしれません。
エクセルの良さとシステムの便利さ、それぞれの特徴を理解した上で、自社に最適な方法を選んでみてください。もしそろそろ限界かも…と感じているなら、一度システム化を検討してみてはいかがでしょうか。